大切な家族を守るために知っておきたい、生命保険の仕組みと選び方
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保険業法第3条に基づき、保険会社が新たに設立される際や、既存の保険会社が事業内容を変更する際には、内閣総理大臣(実際には金融庁長官がその権限を行使)の認可を受けなければなりません。下記のリンクから、内閣総理大臣の認可を受けた保険会社を確認する際は、金融庁ホームページの「免許・許可・登録等を受けている業者一覧」で確認ができます。
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監修者ファイナンシャルプランナー 木村秀幸
人生においてマイホームの次に高額な買い物と言われる生命保険。
保険は長期に渡りお金を払い続けることになるので、毎月支払う保険料は少額でも積み上がると大きな金額になります。
しかし、生命保険の仕組みがイマイチよくわからないという方も多いのではないでしょうか。
この記事では保険のメカニズムや役割について解説します。正しく理解することで、ご自身に最適な保険商品を選ぶための良い判断材料になるでしょう。
保険に入ってみようかなと検討している方は、基礎知識を身に着けてはいかがでしょうか。
生命保険の基礎知識
まずは生命保険の仕組み、保険料の決定方法等、保険の基礎知識を理解しておきましょう。
保険の仕組み
生命保険に限らず「保険」はどのような仕組みになっているのでしょうか。
保険は「何か悪い事が起こった時にお金が払われるようにしておく」というのが基本的な考え方です。
死亡や病気、怪我により仕事が出来なくなった等、様々な「悪い事」に対し保険金が支払われる契約をします。
しかし、「悪い事」は誰に起こるかがわかりません。そのため、多くの人がお金を出し合って準備金を蓄えます。みんなでお金を出し合って誰かに起こる「悪い事」に備える相互扶助の考えが保険の基本的な仕組みです。
貯蓄は三角、保険は四角
保険の仕組みを説明する時によく使われるのが「貯蓄は三角、保険は四角」という言葉です。
貯蓄はコツコツ積み立てていくのに対し、保険は契約した時点から保障額が一定となるという意味の言葉です。
それぞれ図を用いながら説明しましょう。
貯蓄は三角
貯蓄は三角の意味を図で表すと上の図のようになります。貯蓄は一定期間をかけてコツコツとつみあがっていきますので、時間とともに金額が増加していきます。
期間と比例して貯蓄額が増えるグラフが三角形になることからこのような呼ばれ方をしています。
保険は四角
“保険は四角”を図にすると上の図のようになります。
保険の場合、契約時から一定額の保障金額を得る事ができます。
極端な話をすれば、保険加入翌日に死亡しても満期前日に死亡しても支払われる保険金は同額というわけです。
両者の違いを理解する
保険と貯蓄は似ているようで全く異なる性質があります。そのため、ここでどちらが正解かを議論するつもりはありません。
保険は「加入すれば払込額に関係なく、一定の保障が受けられる」というメリットがある反面、保険料は返ってきません。(一部、返戻率が100%を超える終身保険を除き、掛け捨て部分が存在します)
一方、貯蓄は手持ち金額を超える安心はありません。
しかし、貯めたお金の使いみちに制限は無いため老後の生活費や子供の学費、自宅購入などに充てることもできます。
保険・貯蓄の特徴比較
保険 | 貯蓄 | |
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メリット | 保険契約時から一定の保障が約束される | 貯蓄金の使用用途に制限がない |
デメリット | 保険期間中に死亡・病気等の保障条件を満たす状況にならなければ、保険金は返ってこない | 貯蓄に時間を要するため、万が一の際に十分な額が溜まっている保証がない |
保険には様々な商品がありますが「貯蓄は三角、保険は四角」の基本を理解しておくと適切な判断ができますね。
保険金が支払われるまでの流れ
では悪い事が起こったら保険金はどのように支払われるのでしょうか。
保険金が支払われるためには「悪い事」が起こったことを証明する必要があります。
病気であれば診断書を医師に発行してもらい保険会社に送付します。
書類を受け取ると契約に基づいて支払い事務手続きを行うことが保険会社の役割の一つとなっています。
「悪いことが起こった」とウソをつきお金を受け取る人がいると保険の役割を達成することができません。
保険会社はお金を預かり、払う必要のある事態が起こっているかどうかを確認のうえ保険料を支払います。
当然のことのようですが、保険会社がこの役割をしっかり担わないと保険の機能が成り立たなくなるため、とても重要なのです。
必要保障額の考え方
必要な保障額は、悪い事が起こった時を想定して決めます。
重要なのは家族構成とライフステージで、配偶者や子供がいる場合は病気・事故で近い将来に万が一のことがあったとしても生活できるように、保障額を手厚くするべきです。
終身保険など貯蓄性がある保険を活用して老後資金を確保したい場合は、生命保険の保障額や満期返戻金だけではなく、退職金や貯蓄のシミュレーションなども考慮して計画を立てるとよいでしょう。
①遺族の収入額を算出する
家族の中で主な収入源となっている人が亡くなった場合は、収入金額と支出金額の差が大きく開きますので、必要保障額が大きくなります。
一方、収入が少ない人が亡くなった場合の保障額は高額でなくても問題ありません。
現在の貯蓄額や、遺族の収入・稼働能力を考慮して算出します。
②遺族の支出額を算出する
保障額を考える際に考慮する支出は以下のものがあります。
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衣食住にかかる費用
持ち家や住宅ローンなどの住居費用は特に重要です。
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教育費用
大学まで全て公立と仮定した場合で約1,000万円、全て私立(文系)の場合は約2,500万円必要です。
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老後の支出
単身高齢者世帯の平均月額支出は男性176,599円、女性160,340円です。
年金だけで老後の支出を全て賄うのは難しく、人生100年時代に備えた老後資金は2,000万円ほど必要と言われています。
参考元 参考高齢単身世帯の家計収支の状況(総務省統計局)
http://www.stat.go.jp/data/zensho/2004/tansin/gaiyo7.htmlライフステージで変化する必要保障額
必要保障額は「遺族の支出額―遺族の収入額」で算出しますが、同じ家庭でもライフステージによっても大きく変動することになります。
特にお子様がいる家庭はライフステージごとに必要保障額が変化するので、定期的に生命保険などを見直すことが大切です。
まずは早めに将来の収入予測や貯蓄、支出などのライフプランを立てて、計画通りに進んでいない場合は早めに手を打つようにしてください。
生命保険の2つの役割
保険、とりわけ生命保険の基本的な仕組みはご理解いただけましたでしょうか。
保険と貯蓄は異なるものと説明しましたが、生命保険には貯蓄機能を兼ね備える商品があり「保障」と「貯蓄」の2つの役割を担っています。
死亡や病気・怪我の保障
死亡や病気・怪我の保障は生命保険の基本的な仕組みを使って安心・安全な生活を保証する役割があります。
一人では到底賄いきれない負担でも多くの人が少しずつお金を出し合うことによって備えることができます。
例えば、4人家族で夫が正社員、妻はパートで働いていて、子供は小学生の子供が二人。
よくある家族ですが、残念ながら一家の大黒柱である夫が不慮の事故で亡くなってしまった場合どうなるでしょうか。
生活費やこれからかかる子供の学費を全て妻のパート収入だけで賄うのは厳しいでしょう。
このような事態に備えるため、確率は低くても万が一に備え、夫に何かあった時のために保険に入っておく。これが生命保険の大切な役割の一つです。
貯蓄・資産運用
貯蓄を目的にする保険で代表的なものは養老保険です。
養老保険は老後の生活資金を貯めるための貯蓄に近い生命保険です。
払い込み期間中に死亡した場合は一定の死亡保険金が支払われ、満期を迎えた場合は払い込んだ保険料が少し増えて返ってきます。
少し増える部分は銀行の定期預金の利息に近いものですが、現在は超低金利ですのでほとんど増えないと考えた方がよいでしょう。
現在の超低金利環境を受けて外貨建てや株や債券を含めて運用する商品も増えています。
これらの商品は利回りが円建ての保険に比べると高い分、元本割れのリスクもあります。
貯蓄・資産運用を目的とする保険には「自分で受け取る」タイプと「次の世代に遺す」タイプがあります。
自分で受け取るタイプは満期があり、老後資金として貯めていく方法が一般的です。
次の世代に遺すタイプは終身保険となっており、一生涯運用を続けて死亡した際に次の世代に遺すという役割があります。
返戻率が100%を超える理由
養老保険や終身保険では満期解約時に払い込んだ保険料が一括で返ってくる「返戻金」があり、払込保険料に対して返ってくる金額割合を「返戻率」と呼びます。
そして、契約条件によっては解約時の返戻率が100%を超えている商品もあるのです。
返戻率が100%を超える保険に加入した場合、加入者は中途解約しない限り損をしません。
それでいて加入中に死亡した場合などは保障を受けることができます。
これだけ聞くと保険会社が損をしているように感じるかもしれませんが、返戻率が100%を超えるのには理由があります。
返戻率100%を超えるカラクリ
保険会社は、払い込まれた保険料の一部資金を運用することで収益をあげています。
そのため満期時に100%返戻しても十分な利益が残るというわけです。
では、解約返戻率が100%を超えている保険は何で運用しているのでしょうか。
円建てのものであれば、日本の国債や公社債で運用されています。
高い返戻率を約束した円建て保険はリスクを背負えないので、株や外貨建ての債券では運用することができません。
例えば、解約返戻率108%の商品は実際どれくらいお得なのでしょうか。8%は高金利のように見えますが、終身保険の解約返戻率は通常何十年か経った後の解約返戻率です。
8%に到達するのが30年後だった場合は年0.27%のペースになり、定期預金とそこまで大きな差はありません。
解約返戻率が100%を大きく超えているものもありますが、その多くが外貨建てで運用されています。
解約返戻金は外貨建てで約束されていますが、為替の変動があるため、契約時よりも解約時の方が円高になっていた場合、円換算では元本割れしている可能性もあります。
長期加入が必須
返戻率100%を超える保険の多くが、死亡のみなど最低限の保障内容で数十年単位の長期契約することが必須で、中途解約すると返戻率が大きく下がります。
出費が増えたり収入が減ったりすると、保険料の支払い負担が大きくなるので注意しましょう。
生命保険の代表的な商品
生命保険を理解するうえで、必ず理解しておきたいのが「定期保険」、「終身保険」、「養老保険」の違いとそれぞれの特徴です。
定期保険
まず理解しておきたいのが定期保険です。
定期とは保険期間が定められているという意味で一定期間の死亡や高度障害になった場合を保障しています。
基本的には掛け捨ての保険となりますので、割安な保険料で大きな保障をつけることができます。その代わり、貯蓄性はありません。
また、あくまで「定期」ですので契約が切れた翌日に死亡したとしても保障されることはありません。
定期保険を図で示すと上の図のようになります。先ほどご説明した、「保険は四角」の代表的な商品と言えるでしょう。
終身保険
一生涯に渡り契約が続くのが終身保険です。
定期保険とは違い終身に渡り保障が続きます。
保障が一生涯続くため、保険料は定期保険に比べると割高になります。
終身保険を図で表すと上の図のようになります。
基本的な仕組みは定期保険と同じですが、一生涯に渡り保障が続く点が異なります。
養老保険
養老保険とは死亡保険と生存保険を組み合わせた商品で貯蓄性も持つ保険です。
死亡保障に加え、貯蓄性も持っているため、定期保険等に比べると保険料は割高になります。
養老保険の特徴は保険期間満了時に一時金を受け取ることができる点です。
保険料は高くなりますが保険料を掛け捨てにしたくない方には大きなメリットのある保険ですね
養老保険を図にすると上の図のようになります。契約時から死亡保障がつく「保険は四角」の機能は保ちつつ、期間満了時には一時金を受け取ることができます。
生きることに備える保険も
現在は人生100年時代という高齢社会に突入しており、長生きにも備える必要があり、老後に備える保険のニーズが増えています。
長く生きることは大変喜ばしいことではありますが、リタイア後は年金収入のみとなり、現役時代に貯めたお金を取り崩していくことが多くなります。
そのため、長生きすることはひとつの「リスク」と言われており、長生きすればするほど受け取ることができる金額が増える「長生きリスク」にも備える商品も登場しています。
長生きに備える保険は「トンチン型」と言われる保険があります。
トンチン型の保険は将来の長生きに備えるために、死亡保険金を低く抑えることで長生きした際に年金として受け取ることができる金額が大きくなる仕組みを取っています。
トンチン型年金
トンチン型の保険を図で表すと上の図のようになります。
トンチン型でカバーするリスクは「長生きすること」ですので、死亡保険金を保険料累計額よりも低く抑えることで、将来の年金原資を確保しています。
保険の仕組みを応用することで様々な仕組みを作り出し、時代のニーズにあわせて様々な商品が登場しています。
是非貴方も自身に合った保険を見つけてみてはいかがでしょうか。